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<内容紹介>
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
このシリーズは日本の漢詩について、さまざまの立場で歴史の舞台に登場した人々にスポットをあて、その作品と人生を解説する、という方式で進めてまいります。
<第五回 儒教再審――荻生徂徠>
荻生徂徠(1666~1728)は、江戸時代中期の儒学者。20代半ばまでは困学の日々を送りましたが、31歳の時、五代将軍徳川綱吉の側近である柳沢吉保(やなぎさわよしやす)に抜擢、重用されて種々の諮問に応えました。綱吉の逝去とそれに伴う吉保の失脚後は隠居し、研究と教育に専念しました。
徂徠は、朱子学が抽象的な思考に傾いて「世直し」という儒教本来の目標を見失いがちなことを嘆き、儒教の原点に戻ろうとしました。その中で行った古語の研究は、古典解釈の再検討を迫る業績として結実しています。また、哲学は本来、人の性情に基づくものであるとして、性情の表現としての詩文の創作・鑑賞を奨励・実践しました。さらに性情の研究のため、人間社会のあらゆる面に目を向ける必要を主張し、『源氏物語』などの和文古典や、浮世草子(うきよぞうし)、浄瑠璃(じょうるり)、歌舞伎に代表される町人文化を重視しました。そのため儒学者の読書範囲・研究対象は大きく広がり、儒教以外の〈諸子百家〉はもとより、国文学から芸術・芸能にまで及ぶこととなったのです。
<収録作品>
東都 四時の楽 其の一
東都 四時の楽 其の二
東都 四時の楽 其の三
東都 四時の楽 其の四
蘐州の新歳
春江 花月の夜