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内容紹介
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
第九回 燃ゆる心を――頼山陽
良寛和尚は越後(新潟県)出雲崎(いづもざき)の生まれ。家は代々名主(なぬし)を勤めていましたが、彼自身は十八歳のころ出家し、四十代後半に出雲崎の東北にある国上山(くがみやま)に隠居、以後は文化人たちと交流し、農民や子供たちと親しく過ごしました。漢詩のほか、和歌や書に秀でていました。七十歳のとき、貞心尼(ていしんに)という二十九歳の尼僧と出会って親交を深め、貞心尼の残した『蓮(はちす)の露』は両人の和歌を多く収めるとともに、良寛の貴重な伝記資料となっています。良寛の詩は、禅僧としての心境を示したもの、反対に世俗的な悩みを告白したもの、農村の生活をたたえるものなどに分類できます。そしてそれら全体から感じられるのは、深い悲しみーー人間の身勝手さや、越後の人々の境遇、また自分自身の不如意な人生に対する、深い悲しみの情なのです。