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<内容紹介>
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
漢詩は和歌や俳句とともに、永く日本人に親しまれて来た文学形式ですが、漢字ばかりで作られるため、気おくれしてしまう人もおられるようです。
が、そのいかめしい外見から一歩中に入ってみると、まことに多彩で魅力ある世界が現れて来ます。
それは或る種の果物に似ています。西瓜(スイカ)の、あの固い緑色の外皮の中には赤くジューシーな果肉が、また荔枝(ライチ)の、あの固いトゲだらけの、茶色の外皮の中には、丸くて白く、甘い果肉が包まれています。
このシリーズは、漢詩のそのような果実をなるべくわかりやすくお伝えするもので、名作の数々を、時代背景や作者の境遇と合わせてお話ししてゆきます。
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地は、まさしくファンタステイック!と言えるでしょう。
〈第四回 安らぎを求めて〉
今回は前回に続き、畏友の道士・元丹丘を詠んだ二首、五言古詩「元丹丘の山居に題す」、「高鳳石門山中の元丹丘を尋ぬ」から入ります。李白は、道教や神仙思想を愛好することでは元丹丘に近い気質を持っていましたが、丹丘と違い、仕官への願望を捨てることはできませんでした。そんな李白が元丹丘と交流し続けのは、丹丘の徹底した生き方を敬うとともに、当時、道士が朝廷に重用されることが多く、丹丘を通じて朝廷に接近することを願う気持ちもあったかも知れません。
つづいて、三十歳を過ぎてもまだ仕官できない不平と憤りをぶつけた雑言古詩「行路難三首」其の一を取り上げます。
このような中、三十二歳の李白は名門・許氏の令嬢を妻に迎え、ますます求職の活動に力を入れることになります。
<収録作品>
題元丹丘山居
尋高鳳石門山中元丹丘
行路難 三首 其一