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青春という誰もが一度は経験する一生の中で激しくも短い曖昧な時間を
無頼派で知られる作家・坂口安吾が、宮本武蔵の逸話を例に出しながら
独自の感性で語る。
『青春再びかえらず、とはひどく綺麗な話だけれども、
青春永遠に去らず、とは切ない話である......』
誰もが納得しうるような文章は、同時に誰の言葉にも似ることがなく、
安吾の放つ言葉にはいつの時代も斬新さと人間の奥深さを秘めている。
※ 本作品は発表時の時代背景により、今日の社会では一般的でなく、
不適切と思われる表現が含まれている箇所がございます。しかし作品の
オリジナル性を最大限に尊重し、当時のまま忠実に再現することを優先いたしました。
坂口安吾(さかぐち・あんご)
小説家。新潟市西大畑町に生まれる。幼稚園の頃より不登校になり、餓鬼大将として悪戯のかぎりを尽くす。1926年、求道への憧れが強まり、東洋大学印度哲学科に入学するも、過酷な修行の末、悟りを放棄する。1930年、友人らと同人雑誌「言葉」を創刊。1946年、戦後の本質を鋭く把握洞察した『堕落論』『白痴』の発表により、一躍人気作家として表舞台に躍り出る。戦後世相を反映した小説やエッセイ、探偵小説、歴史研究など、多彩な執筆活動を展開する一方、国税局と争ったり、競輪の不正事件を告発したりと、実生活でも世間の注目を浴び続けた。1955年、脳溢血により急死。享年48歳。