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山本周五郎は「文学には"純"も"不純"もなく、"大衆"も"少数"もない。ただ"よい小説"と"わるい小説"があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
<あらすじ>
享保時代。長い大雨で川を渡ることができない武士・三沢伊兵衛とその妻・たよ。宿場町で足止めされてしまい雨が止むのを待つ。二人が宿泊した宿には同じく雨が上がるのを待つ貧しい人々で賑わっていた。彼らの心を少しでも和ませるために賭け試合で稼いだ金を使い酒や食べ物を振る舞った。
翌日になると雨も上がり、散策がてら表を歩いていると若武士たちの果たし合いに遭遇。伊兵衛は仲裁に入り血気盛んな若武士たちをなだめる。切りかかってくる若武士たちをあしらい、剣を取り上げながらなだめていると、藩の老職、青山主膳と付き人の侍がやってくる。敢え無くこの自体が収まり、後日、伊兵衛は主膳から屋敷に招かれる。
主膳は藩主の武芸師範となる者を探しており、改めて藩主の前で武芸を披露することになり、そこでも存分にその腕前をみせることができた伊兵衛は、藩で召し抱えられることが、ほとんど決まったかに思われた。
二日後、主膳からの使いが伊兵衛のところへやってきて、先日の伊兵衛の賭け試合の一件がバレて仕官の話はなかったことになった旨を告げた。再び流浪の旅に出ることになった伊兵衛夫婦だが、貧しい者たちの為に働いた夫を、たよは誇りに思うのであった。
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。