花咲かぬリラの話

audiobook (Unabridged)

By 山本 周五郎

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山本周五郎は「文学には"純"も"不純"もなく、"大衆"も"少数"もない。ただ"よい小説"と"わるい小説"があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。

その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。

<あらすじ>

ダンスホールで青桐みどりという女性に出会い、踊るようになった谷口は、彼女にかつて恋した女性の面影を重ねていた。

谷口はかつて先輩の杉山の妹・早苗を愛していたが、彼女は別の男性と結婚してしまった。早苗は谷口が初めて愛した女性だった。その別れから酒と遊蕩に溺れ、六年の歳月が経ってから、谷口は今の妻と結婚し、あくる年に子が生まれてからは早苗のことも忘れていた。

夏になってからのある日のこと、谷口は久しぶりに杉山から電話をもらい、代々木にある彼の家を訪れることになった。そこで谷口は期せずして、早苗との再会を果たす。久々の再会は谷口の心を揺さぶるのに十分すぎるものであった。

帰りに早苗を送っていく途中で、彼女は別れた日に谷口から贈られたリラの苗の話をした。

――あなたからいただいたリラ、あれっきりまだ咲きませんのよ。

二人は再会を約束して別れた。谷口の胸には熱い想いがこみ上げるのだが......。

山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)

1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。

花咲かぬリラの話