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<あらすじ>
豊臣秀吉が北条氏征伐の戦をおこした翌年こと、
北条氏家臣の夫に代わって忍城の留守を預かる真名女の元に、
酒巻靱負之助が血の気を失った表情でやって来た。
使者が靱負之助に伝えたのは、忍城にわずかに残る三百の兵と共に、
夫達のいる舘林に合流するようにとの口上であった。
真名女は皆を子の刻までに巽矢倉へ集めるよう靱負之助に命じた。
集まった家臣たちの前で、真名女が出した決断は三百の兵と共にこの忍城に残り、
三万の敵軍を迎え撃つというものであった。
真名女は領内の民たちにも忍城にたてこもるべき心あらば老幼婦女にかかわらず、
城に入るべきことを触書で知らせ、領内の刀、槍のたぐいを買い上げさせた。
すぐに戦備が始められ、城の内外は目覚ましいほどの活気に満ちて来た。
城中の外廓に濠を掘ったのは武士の婦人たちだったが、婦人たちは濠のなかに落ちていた笄に気付く。それは真名女のものであり、彼女もおしのびで一緒に濠を掘っていたことを伝えるものだった。
そして、決戦の時は迫りつつあった......
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。