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<あらすじ>
西郡至は学問もよくでき、武芸に秀で、品も良く人づきあいも決して悪くない、寡黙で、謙虚で、愛想のよい男である。
灰島市郎兵衛にしても同様、少し頑固なところはあるが、若手のあいだには親切な老人として評判のいい人物であった。
別々にみると二人ともごく良い人間なのだが、この二人が顔を合わせると必ずといってもよいほど何かしら口争いが始まるのである。
ある年の夏。大暴風雨に襲われ決壊した堤防の復旧工事に着手した作事奉行灰島市郎兵衛は、事務上の加役として、八木次郎太と西郡至を選んだ。
果たしてこれが無事に納まってゆくのかどうか、まわりの人たちはそれを疑うというよりも、いまにきっと始まるぞという興味の眼をみはっていた。
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。