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むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。
ある日、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川でぼちゃぼちゃ洗濯をしていますと、向こうから大きな瓜が一つ、
ぽっかり、ぽっかり流れて来ました。
おばあさんが包丁で瓜を二つに割ろうとすると、瓜はひとりでに
中からぽんと割れて、かわいらしい女の子がとび出しました。
瓜子姫子と名づけられた女の子はおばあさんとおじいさんに大事に育てられます。
瓜子姫子は機(はた)を織ることが大好きで、毎日毎日、とんからりこ、とんからりこ、
ぎいぎいばったん、ぎいばったん。
おじいさんとおばあさんは、いつも出がけに瓜子姫子に向かってこう言います。
「この山の上には、あまんじゃくという悪者が住んでいる。留守中に
お前をとりに来るかもしれないから、決して戸を開けてはいけないよ」
するとある日のことです。
瓜子姫子が一人でお留守番をしていると、
外からこう呼びかける声が聞こえてきました。
「もしもし、瓜子姫子、この戸を開けておくれな。
二人で仲よく遊ぼうよ」
■楠山正雄(くすやま・まさお)
東京銀座生まれ(1884~1950)。早稲田大学時代に坪内逍遙や島村抱月に師事。
大学卒業後の1907(明治40)年、早稲田文学社に入り編集者としてのキャリアを始める。
そして読売新聞社を経て、1910(明治43)年、冨山房に入社。そこで「新日本」の
編集主任として励むかたわら、一方で逍遙の「文芸協会」に参加し、評論あるいは
翻訳劇脚本家として活躍する。文芸協会解散後も抱月の芸術座に続いて参加し、
しばらく編集者と演劇人の二足のわらじを履いていたが、1915(大正4)年、
冨山房社長の命を受け、「模範家庭文庫」の担当となる。
やがて自らも文庫の執筆に手を出し、また児童向けの創作や翻訳も意欲的に行う。