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山本周五郎は「文学には"純"も"不純"もなく、"大衆"も"少数"もない。ただ"よい小説"と"わるい小説"があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
池藤六郎兵衛は七年余日、出世の途を求めていた。
足軽の口ならまだある。が、六郎兵衛は自身の一放流の剣を認められるまで士官はしないと決めていた。
岡崎城下の端れ近く、西照寺裏の藪の中に一棟の廃屋がある。半ば腐った茅の屋根、曲がった柱、傾いた軒、崩れた壁の穴から灯がもれている、とても人の住居とは思えない家に、六郎兵衛は妻の文江と二人で暮らしていた。
ある日、六郎兵衛は佐藤主計をいう客を連れて来る。文江に酒の支度を頼むと、同じ境遇の二人はささやかながら有意義な夜を過ごした。
翌日、文江の姿を見た六郎兵衛は、ある決心をする......。
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。