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山本周五郎は「文学には"純"も"不純"もなく、"大衆"も"少数"もない。ただ"よい小説"と"わるい小説"があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
過去に悪い男に騙されて煮え湯を飲まされた経験を持つ二十四歳のお滝は、十七歳と偽り権現前の岡場所で客を取っていた。里子に出した五つになる子どものためにも、客としてやってきた兇状持ちを、岡っ引きの根岸の政次に密告して金を貰っていた。十二月、お滝は岡場所に来るような人柄には見えない男・元吉と岡場所で出会う。その晩、元吉は「寝床を二つとってくれ」と言うと、お滝と寝床を別にして眠る。しかしその後も、五日とおかずやってきては、お滝に寝床を二つ並べさせて眠っては帰って行くのだった。そんな日が続いたある暑い雨の晩、お滝は政次から「元吉の左胸に刺青がないか確かめてほしい」と依頼され......。
並べ立てたデタラメや嘘の中に隠そうとした「真実」を見つけたとき、それまで交わることのなかった二人の想いが重なっていく————
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。