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山本周五郎
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
五歳の時に鈴木家にやって来たお石は、器量こそ良くないものの、はきはきしていて明るい澄みとおるような目をもっており、さわやかなほど明るいまっすぐな性質に恵まれていた。最初はみっともない子だと思っていた平之丞も、一年ほど経つと愛情をもって妹として接するようになった。平之丞の友達の少年たちは、その色の黒さから、お石を「お黒どの」「烏丸」などと陰で色々なあだ名を呼んだが、お石はどうせ言われるなら自分でましな呼び方をしてやろうと思い、「黒いから墨丸がいい」と主張し、少年たちも皆そう呼ぶようになったのであった。
お石が十三になった年のこと、平之丞の部屋へやって来たお石は珍しくもじもじしながら、文鎮を貸してもらえないかと言った。その文鎮は平之丞が亡くなった祖父から貰ったもので、翡翠で出来ており表には牡丹の葉と花が浮き彫りになっているものだった。お石がひどく思い詰めた様子なので、平之丞は望み通りにその文鎮を貸してやるのだったが......
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。