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昔、ある一人の貧乏人がいました。
ある日 「この後、初めに触ったものを、大事に持って旅に出ろ」
とおつげをもらいます。
祈った後、歩くとすぐに石につまずいて転び、1本のわらしべをつかみました。
わらしべを手に持って歩いていると、飛び回っているアブがわらの先に止まりました。
さらに歩くと、大泣きをしている男の子がアブが止まっているワラを欲しがります。
男は観音様のおつげを信じ、ワラを譲ろうとしませんでしたが、男の子の母親は
「みかんと換えましょう」と言うので、男はワラとミカンを交換しました...。
ある一人の貧乏人が最初に持っていたワラを物々交換をしていき、
そして最後には......、というお話です。
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■楠山正雄(くすやま・まさお)
東京銀座生まれ(1884~1950)。早稲田大学時代に坪内逍遙や島村抱月に師事。
大学卒業後の1907(明治40)年、早稲田文学社に入り編集者としてのキャリアを始める。
そして読売新聞社を経て、1910(明治43)年、冨山房に入社。そこで「新日本」の
編集主任として励むかたわら、一方で逍遙の「文芸協会」に参加し、評論あるいは
翻訳劇脚本家として活躍する。文芸協会解散後も抱月の芸術座に続いて参加し、
しばらく編集者と演劇人の二足のわらじを履いていたが、1915(大正4)年、
冨山房社長の命を受け、「模範家庭文庫」の担当となる。親交のあった岡本帰一に
ヴィジュアル面を託し、他人の原稿を編集するうち、児童文芸への意識が高まっていく。
やがて自らも文庫の執筆に手を出し、また児童向けの創作や翻訳も意欲的に行う。
1945(昭和20)年の終戦後は、様々な文化が復興の力に湧き、正雄も演劇界・
児童文芸界双方に尽力する。