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人は死んだら苦労がなくなるのかと思えば、そうでもないらしい。
あるゆうれいが語った、あの世で楽になることをあてにせず、
生きているうちに正直で強くなり家族の幸せを守るべきだと語る言葉に、
怠け者の弥六は心を動かされる。
江戸京橋の長屋に怠け者の弥六が住んでいた。働かないので、
女房のお兼が賃仕事で稼いでしのいだが、やがて愛想をつかして実家に帰ってしまった。
家主の平作老人がときどき米や味噌を届けてくれ、なんとか長屋住まいを続けるが、
弥六は一向に働こうとはしない。ある日、長屋にゆうれいのお染が現れる。
毎晩、酒と肴で宴をし、閨を共にして享楽をむさぼる。
平作老人は働かないで大口を叩く弥六に我慢ならなくなり、店賃を溜めたら追い出すと言い放つ。
店賃を稼ぐため、弥六はお染と考えた商売「ゆうれい貸し屋」を始める。
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。