もみの木

audiobook (Unabridged)

By 楠山 正雄

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ある森に、いっぽん、とてもかわいらしい、もみの木がありました。

この小さなもみの木は、ただ大きくなりたいと、そればかり願っていました。

森の生活にも退屈しています。この森では、クリスマスが近くなってくると、

いつも木こりがやって来て、いちばん大きい木を2、3本切り出します。

これは毎年のおきまりでした。

若い小さなもみの木は、切り倒されて荷車につまれ、

森を出ていく他のもみの木たちを見て不思議に思います。

もみの木は、じぶんも早くよその世界へ出たくて、

毎日毎日、気が気でありません。

そしてある年のクリスマスの季節、ついに

このもみの木にも切り倒される日がやってきました。

クリスマスツリーとして見事に飾り付けられることになった

もみの木。

しかし、華やいだクリスマスもやがて終わりを迎えます...。

※ 本作品は発表時の時代背景により、今日の社会では一般的でなく、

不適切と思われる表現が含まれている箇所がございます。しかし作品の

オリジナル性を最大限に尊重し、当時のまま忠実に再現することを優先いたしました。

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■楠山正雄(くすやま・まさお)

東京銀座生まれ(1884~1950)。早稲田大学時代に坪内逍遙や島村抱月に師事。

大学卒業後の1907(明治40)年、早稲田文学社に入り編集者としてのキャリアを始める。

そして読売新聞社を経て、1910(明治43)年、冨山房に入社。そこで「新日本」の

編集主任として励むかたわら、一方で逍遙の「文芸協会」に参加し、評論あるいは

翻訳劇脚本家として活躍する。文芸協会解散後も抱月の芸術座に続いて参加し、

しばらく編集者と演劇人の二足のわらじを履いていたが、1915(大正4)年、

冨山房社長の命を受け、「模範家庭文庫」の担当となる。親交のあった岡本帰一に

ヴィジュアル面を託し、他人の原稿を編集するうち、児童文芸への意識が高まっていく。

やがて自らも文庫の執筆に手を出し、また児童向けの創作や翻訳も意欲的に行う。

もみの木