おもかげ抄

audiobook (Unabridged)

By 山本 周五郎

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山本周五郎は「文学には"純"も"不純"もなく、"大衆"も"少数"もない。ただ"よい小説"と"わるい小説"があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。

その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。

<あらすじ>

遠州浜松の城下外れに、鎌田孫次郎という浪人が越して来た。

年の頃二十八九であろう、上背のある立派な体つきで、色の浅黒い、眼の涼しい、浜松城下を通して珍しいような美男である。

孫次郎は米の一升買いから八百屋の買出しまで自分で行う。朝早くから洗濯をしているのを見た者もある。訳をたずねると、妻は我儘者で朝寝がしたいのだろうと言う。来客があっても、頭が痛むと言って出て来ない妻の代りに孫次郎が茶を淹れていた。

孫次郎が移って来てから十日ほどで、「女房に甘次郎」「甘田甘次郎先生」などという評判が忽ち付近に広まっていった。

山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)

1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。

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