〈絶望〉の生態学 軟弱なサルはいかにして最悪の「死神」になったか

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By 山田俊弘

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人間は、意図せず大量絶滅を引き起こそうとしている。その絶望的状況が明らかになってきた。生物多様性の喪失と大量絶滅の先に、希望はあるか? 絶望的な未来を回避する術はあるか?――その答えは生態学が教えてくれる。
●絶望的な事実
2022年、世界人口が80億人を超えた。人間は生物多様性の恵みを享受し、数を増やし続けている。
一方で、人間以外の生物の多くは個体数を減らしている。3万種以上の動植物が絶滅危惧種と認定されており、絶滅リスクが未評価の種までふくめると、絶滅危惧種の数は100万を超えるという推定もある。この生物多様性の喪失は、人間が引き起こしている。しかも、現在進行中の生物多様性の喪失は史上最大級の大量絶滅につながる、という。
この絶望的な事実は、絶滅危惧種だけの問題ではない。
●避けなければならない悲劇
すべての生物は相互に影響し合いながら「生態系」を形成する。小さな綻び(種の絶滅)が生じたとき、運が悪ければ生態系全体が崩壊する。一種の絶滅が生態系を崩壊させなかったとしても、多くの種の急速な絶滅はさらなる絶滅を招き、人間もこの連鎖に巻き込まれる。
たとえば、昆虫は植物の送粉を担い、分解者として働く。その経済効果は80兆円に上るという試算がある。また、仮に昆虫が地球から消えれば、人間は数ヵ月と生き延びることができないだろう。
生物多様性の喪失に続く大量絶滅は、避けなければならない悲劇だ。
●なすべきこと
大量絶滅を避けるには、効果的な対策を考案し実践しなければならない。そのために、生態学にもとづき、なぜ絶滅が起きているか理解する必要がある。まずなすべきは、「学ぶこと」だ。
本書の目的は、人間活動がいかにしてほかの種にダメージを与えるかを明らかにすること。人間のどの活動が、なぜ多くの種の個体数を減らすのかを示す。
そして、どんな種が人間活動の影響を受けやすいかを学ぶ。たったひとつの保全活動ですべての種を守ることはできない。保全対象の種に最適な対策を検討する必要がある。
本書は絶望的な事実を示す。しかし、絶望では終わらない。具体的な事例を交えて、人間活動がほかの生物におよぼす影響と、絶滅危惧種の保全の意味(希望)を解説する。学び続ける意志がある限り、絶望は私たちに追いつけない!
●おもな目次
序章 環境問題の元凶は人口増加か?
第1章 環境問題の構造
第2章 4000倍 vs. 6分の1
第3章 4つの禍い
第4章 マンモスが絶滅した理由
第5章 メスだけになったキタシロサイ
第6章 ラッコが消えれば海も死ぬ
終章 絶望するしかないのか?
〈絶望〉の生態学 軟弱なサルはいかにして最悪の「死神」になったか