自助論~新訳完全版~第六章

audiobook (Unabridged)

By サミュエル・スマイルズ

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第6章 芸術という仕事――WORKERS IN ART

●芸術の世界でも努力なくして成功はない

●根気強く努力を続ける

●前より少しでも進歩するよう心掛ける

●破天荒な芸術家、ベンベヌート・チェッリーニ

●純粋で高潔な画家、プッサン

●志は高く持つ

●天賦の才を生かすのは、健やかな精神

●努力が才能さえも補ってくれる

●努力が幸運をもたらし、現状を打破する力となる

●家族に支えられ、困難を乗り越えた芸術家

●情熱と努力で優れた作品を残した音楽家たち

本文より抜粋

芸術家の偉大な作品のかげに、忍耐強い努力と時間をかけた修練があることに思いを馳せる者は少ない。それらの作品は、時間をかけずに楽々と制作されたように見えるが、そう見せる腕前は大変な苦労の末に獲得されたものなのだ。

「たった10日で作った胸像に金貨50枚も払えと言うのか」とミケランジェロに向かってベネチアの貴族が抗議したことがあった。

「ひとつお忘れのようですね」とミケランジェロはきり返した。

「胸像を10日間で制作できるようになるまでに、30年かかっているのです」

優れた芸術も、他のあらゆる分野と同じように、骨身を惜しまない努力があってこそ生まれる。

美しい絵も、気品のある塑像も、偶然生まれたりはしない。芸術家の巧みな筆使いや、のみ使いは、天性の才能もあるが、やはり不断の修練の賜物なのである。

芸術の世界で傑作を残すには、勤勉に努力することも重要だが、天性の才能がなければ、どれだけ努力しても真の芸術家にはなれないことも事実だ。才能は生まれつきのものかもしれないが、それを完成させるのは自己修練であり、これは受け身的な学校教育よりもはるかに効果的である。

偉大な芸術家には、貧乏などのさまざまな試練をものともせず、自らの力で道を切り開いた人たちが何人もいる。

「年を取るにつれてますます、今の自分を越えたい、これ以上ないくらい完璧な域に達したいという思いが強くなった」

自助論~新訳完全版~第六章