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一:ウラジオストクの街中で、とある日本軍軍人が白髪交じりの身なりの汚い男性に声を掛けられる。男は軍人を半ば強引にレストランに引き込み、こう語った。「私の運命を決定(きめ)てください」と...。
二:男の名はワーニカ・コルニコフ。貴族の血を引く24歳の青年が、かくもどうしてそのような身なりになってしまったのか。青年は語り始める。彼はペトログラードの革命で、家族や家産を一時に奪われ極端な窮迫に陥ってしまった。自暴自棄から一番嫌っていた軍隊に入った彼は、部隊の編成換えで一人の青年と運命的な出会いをする。彼の名はリヤトニコフ。彼もまた帰属の末裔であるらしく、境遇の似た二人は兄弟のように親しくなっていった。
三:ある夜。リヤトニコフが切羽詰った表情で持ちかけてきた相談に、ワーニカは驚く。彼が親の形見として後生大事に持っていたあるものを見せられたからだ...。
四:ワーニカは司令部勤務から心換えし、リヤトニコフと共に連絡斥候に配属を希望した。十数名の一分隊は目的地であるドウスゴイ付近の原っぱまで行軍してきていた。そこの湿地帯には、、コンモリとしたまん丸い濶葉樹の森林が離れ島のようになって、草原のまん中に浮き出していた。世界はどこまでも平和に思えたその時だった...。草原に激しい銃撃が鳴り響きわたる。
五:一斉射撃を食らった部隊が散り散りに逃げ込んだ濶葉樹の森林で、再びの銃撃を聞いていたワーニカは息を潜めて思う。耐え難いほどの銃声はどちらの軍のものだったのだろうか。最初の銃撃で唯一人負傷したワーニカは、何故か重い体を引きずりながら森に引き寄せられていく。暗闇の森の中でワーニカが見たものは...。ワーニカを森に引き寄せたのは...。
六:全ての話を終えたワーニカに、軍人が"決めた"運命は...。
<b>夢野久作(ゆめの・きゅうさく)b>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。
現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。
日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。