夢野久作「オシャベリ姫」

audiobook (Unabridged)

By 夢野久作

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ある国にオシャベリ姫というお姫さまがありました。生れ付きおしゃべりで、朝から晩まで何かしらシャベッていないと気もちがわるく、きいてやる人がいないと大層御機嫌がわるいのです。

ある朝、オシャベリ姫は両親の王様とお妃様におしゃべりを初めました。

「お父様お母様、昨夜は大変でしたのよ。あたしがひとりで寝ていますと、黒ん坊が寝床のところへ来まして、わたしに短刀をつきつけてきたのです」

「それから、二人の女中が機織室で糸を紡いでたから中の様子を見ますと、壁に一列ずつ沢山の蜘蛛がズラリと並んでいるのです」

王様はお驚きになりましたが、どちらも夢の話だと分かると、王様は大層腹をお立てになりました。

「この馬鹿姫め。お前みたようなよけいな事をオシャベリする奴はいない。そんなことをオシャベリしたら石の牢屋へ入れてしまうぞ」

「いいえ。これからが本当なのです。今までのは今度の本当におもしろいお話をするためにお話ししたのです」

そうしてオシャベリ姫は又お話を初めました。

<b>夢野久作(ゆめの・きゅうさく)

日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。

1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。

他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。

現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。

日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。

夢野久作「オシャベリ姫」