私は自分がどこで生まれたのか知らない。記憶にあるのはおのれの住む古い城のなかのことのみ。 いつからどれくらいここにいるのかもわからない。ここは暗く光がない。外へ出たい、何としても光を浴びたい。

「空を一目見てから死んだ方が、日を見ることなく生き延びるよりもずっといい」

そう考えた私は危険を顧みず、いまだ知らぬ外界の空へと続く壁に手を掛けた...

宇宙には苦もあれば楽もある。

その楽とは忘れることである。

世の除け者であることは常に理解しているつもりだ。

この時代とは、そしていまだ人である者どもとは別なる者なのだ。

ある夜、男爵は悲しみの数々を夢に

見る。客の武人がみな魔女や悪魔、

大きなウジ虫の影かたちを取って、

長く悪夢となる――キーツ

本商品「アウトサイダー」は、H・P・ラヴクラフト 朗読集2 「異形のもの」に他10タイトルと共に収録されています。狂気に満ち溢れた作品をまとめて楽しみたいお客様には、H・P・ラヴクラフト 朗読集2 「異形のもの」をおすすめいたします。

ホラーの奇才H・P・ラヴクラフトの名作とされる掌編。

●著者：H・P・ラヴクラフト（Howard Phillips Lovecraft）

1890年8月20日─1937年3月15日。ロードアイランド州プロビデンス生まれ。アメリカの怪奇小説作家であり、SF的なホラー小説で有名である。「クトゥルー神話」(Cthulhu Mythos)という架空の神話大系を考え出し、怪奇幻想小説界に多大な影響を与えた。ラヴクラフトの作品は、潜在意識にある恐怖を描き出し、多くの人を惹きつけている。現在も世界中で彼の創造した邪神や宇宙的恐怖をモチーフにした作品が数多く作られ続けている。

●翻訳者：大久保ゆう（おおくぼ・ゆう）

1982年生まれ。高校1年時より翻訳を始め、以来、各種翻訳をクリエイティブコモンズライセンスにて広く提供しつづけ、個人・企業などで様々に 活用されている。現在は研究者として翻訳研究に携わるとともに、フリーランスの翻訳家・執筆家としても活動中。