故郷を求めて流浪の旅を続ける若者、イラノン。

彼は、自らを王子と称し、故郷や夢に思いを馳せ歌に乗せる。

しかし、旅の道々で出会う人々は彼の歌を笑い、背を向ける。

美しく優しい光りに満ちた故郷を目指すイラノンは、

その途中で道連れと出会い、長い年月の流浪の果てに

とある都へと辿り着くことになる。

その都は歌と踊りで賑わい、人々はイラノンの歌を聴き、

そして彼にバラの花を投げ、拍手を贈るが...

脳裏に浮かぶその鮮やかな世界感は、

聴く者をイラノンと共に流浪の旅へと導くであろう。

いわゆるラブクラフトのSF・ホラー作品とは一味違う雰囲気を

帯びつつも、やはりその根底にはしっかりとラブクラフトの世界を

感じられる「夢の国」のファンタジー掌編。

本商品「流浪の王子イラノン」は、H・P・ラヴクラフト 朗読集3 「未知の世界」に他10タイトルと共に収録されています。人智を超えた宇宙世界と未知の世界へ誘う作品をまとめて楽しみたいお客様には、H・P・ラヴクラフト 朗読集3 「未知の世界」をおすすめいたします。

著者：H・P・ラヴクラフト（Howard Phillips Lovecraft）

1890年8月20日─1937年3月15日。ロードアイランド州プロビデンス生まれ。アメリカの怪奇小説作家であり、SF的なホラー小説で有名である。「クトゥルー神話」(Cthulhu Mythos)という架空の神話大系を考え出し、怪奇幻想小説界に多大な影響を与えた。ラヴクラフトの作品は、潜在意識にある恐怖を描き出し、多くの人を惹きつけている。現在も世界中で彼の創造した邪神や宇宙的恐怖をモチーフにした作品が数多く作られ続けている。

翻訳者：大久保ゆう（おおくぼ・ゆう）

1982年生まれ。高校1年時より翻訳を始め、以来、各種翻訳をクリエイティブコモンズライセンスにて広く提供しつづけ、個人・企業などで様々に 活用されている。現在は研究者として翻訳研究に携わるとともに、フリーランスの翻訳家・執筆家としても活動中。