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捜査一課長である堀越は課長室で、非常に部厚い配達証明付きの封書を受け取った。
差出人には「関西経済通信」編集長の花崎という名前が書いてあった。
心当たりがない人物からと思いながらも手紙を読んでいくと、北園壮助という男が花崎に託されたと記してあった。
そして、その北園は三日前は亡くなったのだという。
北園壮助という名前を思い出しきれずにいるまま、一気にその中身を読み終えた堀越は驚きを隠せずにいた。
それは渋谷署長時代に迷宮入りとなった、東和銀行渋谷支店で発生した強盗事件についてのことだった。
その事件の秘密が事細かに解き明かされていたのだ。
事件は銀行の現金輸送時を狙って行われた。
突然一人の男が行員に体当たりして、落とした輸送袋を奪い去ったのである。
男は北園の住むアパート「松涛荘」の北園の隣室に逃げてきたが、そこから忽然と消え去ってしまい、
追いかけて来た警察も犯人を取り逃がすことになってしまった。
だが、北園はその犯人が隣人であり、友人である大江幸吉であると気付いてしまう......
江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)
日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県生まれ。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーに由来する。数々の職業遍歴を経て作家デビューを果たす。本格的な推理小説と並行して『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説なども多数手がける。代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』など。1954年には乱歩の寄付を基金として、後進の推理小説作家育成のための「江戸川乱歩賞」が創設された。