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春も半ばの夕暮れ時のこと。
踏切の遮断機が上がった時に、踏切の中は沢山の人と車でごった返していた。
その中に一台の異様なオープンカーがあった。
ただでさえ目を引くのみならず、その客席には異様に目立つ荷物が載せられていたのである。
それは白布に包まれた裸婦の彫像であった。
その正体は不幸な偶然から衆人の目の前にさらされた。
トラックとの衝突で、その奇妙な荷物はオープンカーから線路へ放り出されたのである。
その彫像はやってきた省線電車に轢かれ、その石膏の割れ目から血を流していた......。
石膏像は警察に運ばれ、極悪非道の殺人事件として捜査が開始された。
繰り返される残忍な殺人事件。
その捜査線上に浮かんできたのは、派手な水玉模様の衣装をまとい、
三日月型に裂けた大きな唇に無気味な笑いを浮かべる怪人であり、新聞は「地獄の道化師」と騒ぎ立てた。
依頼を受けた名探偵明智小五郎は捜査に乗り出すが......
江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)
日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県生まれ。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーに由来する。数々の職業遍歴を経て作家デビューを果たす。本格的な推理小説と並行して『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説なども多数手がける。代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』など。1954年には乱歩の寄付を基金として、後進の推理小説作家育成のための「江戸川乱歩賞」が創設された。