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野間五郎は物忘れの天才であり、友人から「空気男」と呼ばれている。
野間はある日なんとなく乗った列車で、メフィストフェレスさながらの風貌の黒服紳士に出会う。何も活字が印刷されていない本をニヤニヤ笑いながら読んだり、口の中から常に紐を垂らしていたりする妙な男であった。気になった野間は彼が列車を降りてからも、後をつけるが、あっさりと尾行に気づかれてしまう。
彼の名は伊東錬太郎といい、プラクティカルジョークの名手――すなわち「冗談のいたずら」の達人だった。
伊東に興味を持った野間はプラクティカルジョークの魅力に開眼し、いつしか二人してプラクティカルジョークを実践していくようになった。
周囲をけむに巻きながら、その語り草となっていくようないたずらを仕掛けることに、野間はすっかり夢中になっていった。
その傍ら野間は美しい伊東の妻・美耶子に心奪われていく。
夫のある身と知りながら、その不思議な魅力に溺れていくのだが......
江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)
日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県生まれ。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーに由来する。数々の職業遍歴を経て作家デビューを果たす。本格的な推理小説と並行して『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説なども多数手がける。代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』など。1954年には乱歩の寄付を基金として、後進の推理小説作家育成のための「江戸川乱歩賞」が創設された。