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庄太郎は友人の奥村一郎に借金を断わられてしまう。
元々諍いの絶えなかった二人だが、感情のぶつかり合いから言い合いが激しく加熱し、
庄太郎はとうとうそこにあった拳銃で奥村を撃ち殺してしまった。
幸いにも、銃声は鳥おどしの空鉄砲に紛れて疑われないと悟った庄太郎は、
どうにか逃げられるかもしれないと思って思考を巡らせた。
庭の中に野球のボールを探しに来た奥村の弟をやり過ごし、拳銃についた指紋をふき取り、どうにか誰にも見つからずに門の外へ出た。
どうにかその場から逃げ出したものの、証拠は隠滅したとはいえ、
状況から自分に嫌疑がかかるのは避けられない。
今にも警察が来るのではないかと、庄太郎は寝床で布団に包まって怯えていた。
しかし、奥村を撃ち殺した時に濛濛と立籠めた灰神楽を思い出し、
逃げ場のない闇の中に一筋の光明を見出す。
それは、彼が嫌疑から逃れうる天啓のように思われ、庄太郎は実行に移すのだが......
江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)
日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県生まれ。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーに由来する。数々の職業遍歴を経て作家デビューを果たす。本格的な推理小説と並行して『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説なども多数手がける。代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』など。1954年には乱歩の寄付を基金として、後進の推理小説作家育成のための「江戸川乱歩賞」が創設された。