復興の道なかばで――阪神淡路大震災一年の記録

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By 中井久夫

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〈あの震災から150日が経った。今神戸はふしぎなほど静かである。神戸を埋めつくしていた救援の人たちはおおむね去った。活動を続けているボランティアは地元の人たちか、敢えて残留した少数である...会う人の多くは疲労をにじませている。震災以来働きつづけた人たちである。警察や消防や教員。一般行政の人もある。被災企業の人たちの再建の努力。渋滞の中で何度も夜を明かした運輸の人。求めに応じて無理を重ねた物資輸送に携わる人、報道の人もそうだ。自宅の修理に、店の、工場の再開のために夜間や休日を費やした人たちももちろんだ。休暇をとって欲も得もなく眠りたいという内心のささやきを感じている人が少なくなかろう。神戸全体がいっせいに休む休暇週間を提唱したいくらいだ。実際、われわれはよく働いたではないか。そういう自分をそっとほめてやりたいと思っても自然だろう〉(「震災後150日」)誰もが被災地に眼をそそいでいた大震災から一年。避難所で生活していた人たちは、ボランティアはどうなったのだろう。被災中心部のように光が当てられなかった辺縁地域は、重荷を背負っていないだろうか。被災民への補償は、今後の地震対策は、町の復興は? こころに傷を負った人たちへのアプローチは、進んでいるのだろうか。阪神淡路大震災から一年の記録を収めた『昨日のごとく』(1996年刊)より、中井久夫の文章9篇を中心に編集。歴史に学ぶ・「神戸」から考える――こころのケアを中心に、精神科医が関与観察した震災後一年間の記録。
復興の道なかばで――阪神淡路大震災一年の記録