十一月。新しい店が開いた。山の後ろに星がある。黒い雲がある。家具を売り、本も売る店。種、葉茶も売る。店の前に腰掛けと藤の椅子、一台の白黒テレビがあり、聴いたことなく人気のない番組を放送する。テレビが、画像は緩い、ゆらゆらして、時々大きな魚、波がある。八人、一匹の猫。一つの木か人かわからないもの。一つの微光の球形。海の底に、輪になって、解散するかどうか、別々に行くかどうかを討論する。道はゆらゆら、深い黄色、緑、黒い、ミカン色の海草が覆われる。草の中に巻貝がある。草の中に蜻蛉と蜉蝣がある。海はゆらゆら。午前中、道は左へ傾く。午後から零時まで、道は右へ傾く。上り坂。海草は更に長いと、蜉蝣は更に多い。海流は流れに沿うと、足は更に重い。

誰かがそう言う。今、進めているスピード、媒質。また体の中から腫れ物が生えるみたいに鈍く膨らんで、発散して、広げる感じは、近くの小豆色の星から来たじゃないか。もう一つ星の地表の流れ星の穴、土紋と冷泉が交ぜ織った結界と世界観から来たのだ。今、歩いながら、なんか時間が戻るみたいに不思議な感じがする。午後。静かに、海は水浸しになって上がる。さっき古い魔法にずらされ、凍結されるみたいな時間、空間は、茶色の波に連れ去られ、何も残されなかった。砂浜は灰色。空は青草の色。マリアン星の船は、藍鼠色と言われている。

脚本を書く人は昔々亡くなった。死の瞬間に汲み取った最後の欲念、記憶、思惟は、繭みたいな、琥珀色の卵の中に預ける。地下に預ける。凄く凄く大きな繭みたいな、琥珀色の卵形の機械体の中に預ける。長い以後。卵は埋まれる。雪に埋まれる。そして、融けて、土流、灰色の波に連れ去られる。その白黒テレビは高山草原、羊飼いのテントの中へ彷徨っていく。毎週の水曜日、日曜日に、海の物語を放送し続ける。