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『門』は明治43年(1910年)に発表された夏目漱石の長編小説であり、
『三四郎』『それから』に続く前期三部作の締めくくりとなる作品である。
『それから』のその後の展開であり、社会の片隅でひっそりと暮らす過去に傷を持つ夫婦の苦悩、悲哀がテーマとして描かれている。
平穏な日常を仲睦まじく淡々と重ねる夫婦の生活と、その奥に秘められた暗い過去の罪悪感と不安の日々。親友であった安井を裏切って、彼の内縁の妻であった御米を奪い結婚した宗助。
「山の中にいる心を抱いて、都会に住んでいた」とあるように、彼らはその罪悪感ゆえ、社会から切り離された二人だけの世界にこもり続けていた。しかしある時、思いがけず知ることになったかつての親友、安井の消息に宗助の心は激しく乱れてしまう。
恐怖、そして蘇ってくる重い罪の心。悩み苦しむ宗助は、心の動揺や不安から逃れたい一心で、妻の御米に内緒で禅寺の「門」をくぐる。しかし、そこには解答も救済もなかった...。
過去の罪から逃れる術はあるのか? 救いはあるのか?
希望も絶望もない、どうにもならない......。
それでも生きていかねばならない、生きていくことの痛みとは...?
静かに心に染みる味わい深い夏目漱石の名作です。
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この『門』の連載終了後、漱石は胃潰瘍のため入院することになる。
血を吐いて倒れ、生死の境をさまよう。いわゆる"修善寺の大患"である。