退歩を学べ ロボット博士の仏教的省察

ebook アーユスの森新書

By 森政弘

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本書は、現代日本人の「進歩」一辺倒の思考に対して「退歩」という活路("退路"ではありません)を提示するものです。明治の開国以来、敗戦を経て高度経済成長、バブル経済等々と進歩・発展・成長で突き進んできた日本人。その「右肩上がり」的発想は経済や社会のみならず教育、人生観などにおいても一貫したものでした。しかしながら、その「進歩」優先のひずみとして表れていたのが、おそらく「13年連続で自殺者が3万人」であり、その限界を決定的に露呈させたのが東日本大震災および福島の原発事故でした。にもかかわらず、原発事故後も政府が「成長戦略」を謳い続けているところに、日本人における「進歩」的思考の根深さがうかがわれます。そのような状況に対して、著者が提示するのが「退歩」です。著者によれば、「進歩」一辺倒では行き詰まるというのが自然の摂理の必然であり、「進歩」と「退歩」が車の両輪のように揃って機能してこそ、真の進歩が可能となるといいます。この「退歩」とは、そもそも禅思想(道元著『普勧坐禅儀』)に由来する語で、「歩みを戻す、根本に立ち返る」が原義です。さらに禅では「退歩」を「進歩」と対比させて、「進歩」が「自己の外側のあらゆるものに着目する姿勢」を言うのに対して、「退歩」は「自分の内側、すなわち心を問題にする姿勢」を意味します。真の「進歩」のためには「退歩」が不可欠であるとともに、「自然に対する畏敬の念と敬虔な姿勢をとること」こそが、日本社会の進歩ということだけでなく、私たち一人一人があらゆる意味で豊かに生きていくための道であると説く一冊です。
退歩を学べ ロボット博士の仏教的省察