「さかさ」の学校 :マイナスをプラスに変える20のヒント

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By 加藤登紀子

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81歳で国内外を飛び回る歌手・加藤登紀子が「危ない橋を渡ろう」「仕事をする時ほどお酒を飲もう」など逆説的元気の秘訣を説く!
■ようこそ「さ・か・さ」の学校へ!
 時代は激しく揺れていて、これまでの通りのやり方ではうまくいかないこともある。
 こんな時は積極的にわが道を開くしかない。
 砂時計を逆さにした時、嬉しそうに勢いよく砂が落ちる、あのイメージで、常識をひっくり返してみよう、という魂胆。
 私の強気には、それなりの年季が入っている。
 挫折、屈折、骨折、数々の曲がり角を潜った結果。だから年齢だけじゃないのよ。私を産んでくれた両親が生きた分も、私のキャリアに引き継げば、鬼に金棒。
 生きにくさを感じる時、先が見えなくて悩む時、あなたの役立つ虎の巻きになってくれることを祈って、私なりの経験を20のヒントに綴ってみた。
■ 「さ・か・さ」のスタートラインは「20歳」。
 私が20歳になった時、母はこう言った。
 「間違ってもこの男についていくわ、なんて言わないでね」
 女がひとりで生きることがまだ普通じゃなかったはずの、大正生まれの人から、こんなことを言われるなんて、さすがの私もびっくりした。
(※中略)
 その私に恋人ができた時、私は「家を出て、彼と暮らします」と母に言った。
 すると、「そう、それなら今着ている服は全部脱いでいってね。私が作った服なんだから」と答えが返ってきた。
 ちょうど季節は冬。何だが服を脱げ、と言われても、と困惑した私は、家出する気力を一気に失しなって、あっさりその家出計画を諦めた。
(※中略)
 あらゆる時に想定をひっくり返す母の言葉の力に、私はいつの間にか、結婚するにしても、しないにしても、ひとりで生きていく、そんな覚悟を決めさせられていた。
 でも、今になって母が言っていた意味はよくわかる。
 人の命は、自分の力で生きている時に、いちばん輝く。誰かに頼って生きていくのでは楽しくないし、力が湧かない。
 どんなに人を愛しても、人間最後はひとりで暮らすことになる。命を輝かせるためには、ひとりで生きる力を身に付けないといけない。
(*中略)
■ 女はフロンティア
(*中略)
 人生は積木のように、高く積んで限界に達していくものじゃない。何度もゼロから始め、無限に繰り返す。それは例えるなら畑のよう。種をまけば次々に花が咲き、実がなり、また種をつける。過去の記憶は畑に残りつつ、循環する。そんな循環に夢中になって畑をただひたすら耕して、今がある。
 何かを残そうなんて思っていなかったけれど、いつの間にか思い出がいっぱい。
 ひとりだっていいや、って思っていたら、友だちがいっぱい。
 生きることは何て面白いんだろう。
 思い切り吐き出して、いっぱい吸って、せっせと生きる!
 もうそれで十分。
(本書「はじめに」より)
「さかさ」の学校 :マイナスをプラスに変える20のヒント