谷崎潤一郎「途上」

audiobook (Unabridged)

By 谷崎潤一郎

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普通の推理小説とはひと味違い、事件解決が目的ではなく、探偵「安藤」の1人語りで「湯河」を追い詰めていく心理戦が描かれる。

サラリーマンの湯河は、会社からの月給と年末賞与をポケットに忍ばせ、愛する妻を喜ばせようとあれこれ思案しながら家路を急いでいた。

しかしそこへ、知り合いからの依頼だと言って、探偵を名乗る男に声を掛けられる湯河。

探偵は、湯河が前妻を亡くしたその真相を事細かに調べ上げており、次々と湯河に語りかけていく。

愛するが故に夫を信じきっていた妻が、どのようにして死に至ったか。

それを、ただただ歩きながら語る探偵と、聞くばかりの湯河。

この『途上』というタイトルには、探偵が目的とする場所へ向かうと共に、話の過程も本質に近づいていくような含みがある。

江戸川乱歩に「日本の誇り得る探偵小説」と言わしめた本作は、短編ながらも、一度その「途上」を一緒に歩み出してしまったら、目的地まで掴んで離さない力を持っている。

谷崎潤一郎「途上」