◆もくじ◆1ふろしき 2キューピーちゃん 3ダルマ 4火 5おはか 6時計 7歌声 8えんぴつ 9うんち 10バッグ 11手 12浅草の刀 13声 14ぼうし 15ごみばこ 16アイスキャンデー 17たからもの 18ホンコンのスライド写真 19クジャクの羽 20メガネ 21結婚 22電話 23目に見えないもの 24一枚の絵 25カギ 26矢じり 27机といす 28わゴム 29ピエロ人形 30月 31ジンチョウゲ 32T君とR君 33ランドセル 34トイレットペーパー 35長なわとび 36かがみ 37一番すきなもの 38お母さん 39つうちひょう 40タイムカプセル小学校教諭が児童へ詩の指導を施した実践記録とその内容について。子どもは かくまでも秒速の進歩を!物に託してものを見るという習慣は、このところすっかり身辺から遠ざかってしまった。幼き日の伝承遊びが妙になつかしいのは、透明な世界への追慕というより、変転目まぐるしい世情の中で何が不変なのか見定めがつかなくなっていたと思われる。 橋立先生の第三著作｢チチン･プイプイ｣を見ると、長い間忘れかけていた変身願望が俄に甦り、自分の中の健康な部分に更に正規を注がれた驚きを発見する。子どもは良質な教師に恵まれるとかくまでも秒速の進歩があらわれるものだろうか。更に素材とする｢物｣を追って行くと、子どもの成長にかける橋立先生の遠大な仕組みを読み取ることが出来る。十年後にだるまの残った片方の目に墨を入れて全開させる。この発想は一時流行したタイムカプセルに似ているが、だるまの目を開眼させる思いは豊かな自己成長が約束されて楽しい。一作目の｢こころのめ｣、二作目の｢ピーチクパーチク｣、三作目の｢チチン･プイプイ｣の一連の著作を通して感じられることは、心の成長が約束されるのは子どもだけでなく、教師も成長するという事実である。会う度に変わっていく橋立先生を見ると、教育力の偉大さと成長という限りない喜びに目が眩む思いである。松丸数夫